ブログ

2022.08.19 先生のつぶやき

過度なストレスやトラウマに出会う時は、ぜひ相談してください

先日、岸田首相が日本の首相としては初めて米ニューヨークで開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議に出席しました。

我が国は世界で唯一の被爆国であり、戦争の非人道性を理解し、戦争放棄を憲法で定めています。そのような平和が担保されている環境では、外国で戦争や紛争が起きていても、身に迫った危機として捉える機会が少ないのではないかと思います。

 

それでも、私たちが日常生活を送る上で、予期せぬ災害や事件に巻き込まれることがあります。

記憶に新しいのは、東日本大震災、熊本地震、北九州豪雨災害などの自然災害や安倍元首相の襲撃事件、京都アニメ放火事件、西梅田のクリニック放火事件などと思います。災害や事件の被害に遭われた方々と交流をしたことがある人たちにとってはより現実的に感じるでしょうし、交流がなかった場合でも、間接的に内容を聞くだけでも危機感を覚えます。

 

そのような大々的に報道されるような大きな災害・事件でなくても、個人レベルで命の危険や自分の存在を脅かされるような体験をした人たちもいます。一度でもそのような体験をしてしまうと、「いつどこでまた同じような事が起こるかもしれない」と、恐怖が先立ち、必要以上のストレス反応を起こすことがあります。

 

私たち人間は、自分の身を守る(生き延びる)ためにストレス反応が生じるように設計されています。それでも過度なストレスまたは長期間のストレスにさらされることで正常にストレスを対処するための反応力に失調をきたし(ストレス障害)、日々のストレスや些細な理不尽な出来事すらもうまく処理ができなくなります。それが”トラウマ(心的外傷性ストレス)”と呼ばれる現象です。トラウマは、特別でドラマチックなものではなく、実は私たちにとって日常にある身近なものです。

 

 

そして、トラウマにさいなまれると、その人の世界観は「世の中は危険で警戒しなくてはならない」という認知が常につきまといます。それゆえ、過剰適応、過緊張が起こり、人間関係、勉強や仕事、全てにおいて自信が持てない、周りの人に愛着を感じられない、吃音(どもり)など、身体症状や生きづらさなど、さまざまな問題を生み、本来の自分の力が発揮できなくなってしまうのです。

 

 

本人だけではなく、トラウマ体験をした人たちと日常的に接している家族、友人、先生方にとっても似たようなストレス反応が起こることもあります。これを心理用語では「二次的外傷性ストレス」と呼びます。トラウマ体験をした人の体験を、その人の身になって共感的に聴けば聴くほど、その内容や場面をリアルにイメージしてしまい、頭から離れなくなったり、その人が体験したあまりの過酷さ・辛さに圧倒されたり、自分の無力感・罪悪感も引き起こされたりして、話を聴く事さえしんどくなってしまい、サポートを続けられなくなることもあります。

 

もし、みなさんの周りにトラウマを抱えた当事者、あるいはその人をサポートしながらも不調を感じる人たちがいたら、一人で抱え込ませずに、他の人(家族や友人)または専門家を頼るように勧めてください。

さまざまなサポートあるいはセルフケアを提案できると思います。

 

 

スクールカウンセラー 島田 真弓

 

大阪のインターナショナルスクール
大阪のインターナショナルスクールなら

関西インターナショナルハイスクール
〒545-00053 大阪市阿倍野区松崎町2-9-36
帰国生・帰国子女受け入れ校
高校卒業資格取得可

タグ一覧