K.I.H.S.WEBコラム

2016.02.16

覗いてみよう! 世界各国の英語教育 - 中国編

長らく中学校から英語教育を開始してきた日本も、2011年から小学校において新学習指導要領が全面実施されたことにより、公立小学校の5・6年生を対象に「外国語活動」が必修化されました。また、東京オリンピックが開催される2020年には「外国語活動」が小学3年生に前倒しになり、小学5・6年生では「教科」になるといわれています。このように英語教育への取り組みが加速している日本ですが、中国のような同じ東アジア諸国と比べると遅れているといわれることもあります。これは本当にそうなのでしょうか。ここでは、中国の英語教育事情についてみていきます。

“使える英語”を目指した積極的な教育体制


中国で英語教育が開始されるのは、小学3年生から。政府によって全国で実施するよう決められており、“使える英語”の修得を目指して英語教育が行われています。なお、北京や上海などの都市部では小学1年生から英語教育を開始することが多いようです。

中国の英語教育の特徴は、細かいミスをいちいち指摘せず、子どもたちが自由に英会話できるよう教えていくことです。そのため中国では英語を聞き、話せることに重点を置いており、授業内容も読み書きよりもリスニングなどのほうが遥かに多く行われます。テストについては、9割がリスニング問題だといわれています。なお、中国ではテストが実施される頻度が多く、生徒たちは100点満点を目指して勉強しています。
そんな中国では、生徒・学生全体の英語力は日本の生徒・学生よりも高いということが様々な統計から分かっています。

地域格差の大きい中国

上記の内容だけをみると、確かに中国の英語教育は日本よりも上を行っているといえそうですが、中国には日本と一概に比較できない事情があります。その事情とは、格差社会が生み出す教育レベルの差です。

なお、日本でも現在は格差社会になりつつあるといわれています。とはいえ、中国の格差社会は日本の比ではありません。一部の富裕層が東側の都市部に集まり、所得の地域格差も日本以上に開いています。格差があるということは子どもが教育を受ける機会にも格差があるということで、上記のような質の高い英語教育は、必ずしも全国民が受けられているわけではないといえます。

なお、中国では所得の格差だけでなく、都市部と地方における英語教育の充実度の格差も生じています。その例として、英語教育の開始時期の違いが挙げられます。また、カリキュラムに占める英語の割合も都市部のほうが高くなっています。外国人教師を招いてネイティブな発音を生徒に聞かせる私立学校も、都市部で多く見られます。そのため、中国において信頼性のある英語力の全体的な平均を取ることは非常に難しく、一概に日本と比較することはできないといえます。

意欲を高く持つこと


上記のように、中国と日本を単純比較することはできませんが、中国都市部の英語教育事情には見習うべき点があるといえます。たとえば、富裕層の子どもたちの英語に対する学習意欲です。中国富裕層の子どもたちには「自分たちが将来の中国を背負って立つ」という意識が強く、グローバル社会で生き残れるよう積極的に英語を学ぶという意欲がみられます。こうした学習意欲は学習環境と相まって、英語の習得の精度を高いものにしているといえます。なお、日本の平均的な学校では中国の都市部の学校と比較すると学習環境の面で遅れている部分もあるものの、日本国内の一部の英会話スクールやインターナショナルスクールでは充実した英語学習環境が設けられていることから、他の学校の授業や取り組みだけでは補えない部分を学習することも十分に可能となっています。

小さい目標の積み重ねが大切

中国富裕層の子どもたちの英語力、とりわけリスニングやスピーキングの実力が高いのは、数多くのテストをこなしているからかもしれません。日本の学校ではテストの回数が比較的少ないですが、自分で小さい目標を小刻みに設定し、ひとつずつ達成していくことで成長曲線を高くすることができます。また、さらに高い英語力を身につけ、周りに差をつけたいのであれば、それだけ充実した英語の学習環境に身をおくことが重要となります。そうした場をお探しであれば、英会話スクールやインターナショナルスクールの活用・入学を考えてみてはいかがでしょうか。

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